ぼくらの七夕大作戦!
夕方、ピンポンがなった。

ドアをあけると、宗一くんがいた。

「お姉ちゃ~ん。そういちくん来たよ!プリントもってきてくれたんだって」

「えっ」

お姉ちゃんはパジャマのままだ。プール熱は、治っても2日間は学校をおやすみしなきゃだめなんだって。

「やだあ。お姉ちゃんは寝てるって言っといて。たいがが行ってきて。ね。プリントもらってきてよ」

「お姉ちゃん。おりひめさんとひこぼしさんはね、ちょこっと力を貸してくれるだけなんだよ。
チャンスをもらったんだから、あとは自分でがんばらなきゃ願い事は叶わないんだから」

お姉ちゃんはプリントを受け取りにいった。

わざわざプリントを広げて見せながら、来週もってくる図工の材料や席替えの説明をしてあげてるそういちくん。

ぼくはかくれて観察しながら、にやにやしていた。

ふむ。やさしくてしっかり者で、なかなかみどころのあるお兄ちゃんだ。


そういちくんが帰ろうとすると、お姉ちゃんは言った。

「ちょっと待って!こんど席替えの時、一緒に座ろう?」


「え? ああ。いいよ」



「ちょっと!? なんでそこにいるの? あ! あんたずっと見てたでしょ」

そういちくんが帰ったあと、ぼくはげんこつをいっぱつ、お見舞いされてしまった。

いつもはもっと、けられたりとかいっぱいされるから、今はかなりきげんがいいみたい。
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