鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
ピンポーン。
「あ、誰か来た」
ノートを見たまま固まる私の代わりに祐吾が玄関へと向かう。
「ちょっと、祐吾くん!
前にさくらが好きだって言ったよね?!」
「違うよ、祐吾くんは今は愛子のカレシなんだよ。
交換日記もしてるもん!」
「愛子ちゃんは黙ってて!
祐吾くんは誰が好きなの!」
…………今度は何事だ。
母は再び聞き耳を立てる。
「僕はみんな好きだよ」
「「はあ?!」」
……………。
息子よ。
もしや、君は……。
「今は愛子のカレシだよね?」
「は?」
…………間違いない。
彼は…………。