鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》



ピンポーン。

「あ、誰か来た」


ノートを見たまま固まる私の代わりに祐吾が玄関へと向かう。


「ちょっと、祐吾くん!
前にさくらが好きだって言ったよね?!」


「違うよ、祐吾くんは今は愛子のカレシなんだよ。
交換日記もしてるもん!」


「愛子ちゃんは黙ってて!
祐吾くんは誰が好きなの!」



…………今度は何事だ。

母は再び聞き耳を立てる。

「僕はみんな好きだよ」


「「はあ?!」」



……………。
息子よ。

もしや、君は……。


「今は愛子のカレシだよね?」


「は?」



…………間違いない。


彼は…………。





< 148 / 244 >

この作品をシェア

pagetop