鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
いやいやいやいや。
落ち着け、自分。
森戸が何を言っても断ればいい話だ。
私には家庭がある。
確かにいい男だ。
一度くらいなら………って!
違うだろ!!
「あのさ」
そうだ。
聞かなければいい。
私は何も聞いていない。
断るとか、何だとか考える前に、こいつを黙らせてしまえばいいのだ。
その時。
頭の中に工藤くんの私を見る目が浮かぶ。
キラッと嬉しそうに光る目。
モジモジと何かを訴えるような目。
………間違いない。