鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
「さ、行くよ。
今日は在庫管理表をあんたが一人で作ってね」
「……え」
途端に工藤の目がいつもの輝きを帯びる。
………そう。…恐怖を感じている。
「むっ…無理……」
「無理じゃない!」
「ひっ!」
「…………」
だから、ひっ、とか言うなよ…。
もうあんたは頭の中で配置変え済みだから。
イケメンジャンルから、ただの同僚に。
だからそんなにビビんなくてもとって食いはしねぇよ。
ああ。
不倫しそびれたな。
直哉の顔が頭に浮かぶ。
………ま、いっか。