鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
「姫路城はね、愛の城なんだよ。
家康の孫娘で母親が江の千姫が愛の時を刻んだんだ」
「「は…?」」
直哉と二人、首を傾げる。
息子が何を言い出したのか、無知な親二人はさっぱり分からない。
「千姫はね、七歳で秀吉の子、秀頼に嫁ぐんだけど大阪夏の陣で夫を失い後家になるんだ。
その戦が終わり江戸に帰る途中で桑名城に立ち寄った時に城主の息子の本多忠刻と運命の出会いを果たす。
燃えるような恋心と共に彼に嫁いで姫路城に住むんだ。
だけど忠刻が三十一歳の若さで死んでしまう。
その後も一人で彼を偲んで生きていくんだ」