鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
「小説は書いてる私も読んでるあんたも、全て空想の世界だよ。
あんたが岡野に思えるならあんたの世界ではそうなんだろ。
まあ、間違ってもあいつがモデルではないがね」
「そうですか。
何か岡野さんって、イメージ的に『王子様』っていうか……。
カッコいいですよね」
…ぶっ………。
吹き出しそうになるのを堪える。
私はお腹を掻きながら『けけけっ』と笑う彼のイメージしかない。
「それも、伝えておくよ……」