鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
「…まあ、うまく断っておいてよ。
何ならお前とデキてるって事にしておけば」
「…!!!
やめろ!洒落にならん」
私が焦ると岡野は腹を掻きながら「けけけっ」と笑った。
………。
目を覚ませ、吉井。
――「何かさ、今は恋愛する心境じゃないみたいだよ」
翌日、吉井に告げる。
「……そうですか。
やっぱり……」
「何がやっぱりなの」
「岡野さんは鳴瀬さんが好きなんですよ。
あの人が唯一話す女性社員ですもの」
「……違うよ。
私は四人の子持ちだよ?
あり得ないだろ」
「鳴瀬さんの小説も、あり得ない事ばかりですよ」
「だから。あれは想像だって」
現実に、悠斗や柊がいたら怖いだろうが。
不倫天国になってしまう。