鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
お金持ち<極貧?!

「鳴瀬さん、百円貸してくださ~い」

休憩時間になると必ず私のところにやって来て、百円をねだる男。

「またかよ。じゃあ貸してやるから今日は私の代わりに一時間残業だからね。
私ゃ今日は子供の遠足で弁当作りだから」

「うぃ~っす」

チャリン。

彼の手に百円玉を乗せてやると、彼はそのまま急いで自販機に向かう。

その後姿を見ながらため息を吐く。

――大丈夫か、…あいつ。

「お金がない」が口癖で、百円を周囲に借りまくり、たばこを皆から一本ずつ恵んでもらい、長い夜の勤務時間を眠い目をこすりながら日々乗り切っている。



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