鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
「わかったよ。五百円な」
自分で取り立てろ、とか言いながら、結局は私がするはめになる。
みんな、私の性格を分かっているから、うまく私を利用しているのだ。
「鳴瀬なら黙って見てはいられないだろう」みたいな。
うーん。私もまだまだ甘いな。
鉄の女のつもりでいたが、このゆるさはコンニャク並みだ。
と、自己分析をしつつ、田村に話を切り出す。
「おい。加温製パン課の村木に五百円返しとけよ」
「あ。そうでしたね。ま、今ないんで来月にでも」
おい!ないって!五百円?!
「お前。来月って…。今日は10月2日だぞ・・・」
「ま…、おいおい?…今に返しますって」