鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
部下が、五十人?!こいつに?
「部下から百円ずつ集めてたのか」
私は引きつりながら無理矢理冗談を言った。
「いえ。コーヒーを飲む暇なんてありませんでしたから。
売上に追われていたんです。成績の悪い部下の分も自分が契約を取っていたんですよ」
「はあ…」
なんと、まあ。
まさか、その当時の部下も、田村が今はダンボールに埋もれていたり、タバコを人から恵んでもらったりしているとは思わないだろう。
「あんたが自分の業績を人に分け与えるってことは、あんた自身は相当成績が良かったのか」
じゃなきゃ、そんな役には就けないよなあ。