鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
「じゃあ貯金を切り崩して今の生活に充てろよ。
人に迷惑かけてんじゃないよ」
私の説教に彼は真剣に耳をかたむける。
何せ、鳴瀬教のただ一人の信者なのだ。
「そうですね。・・・銀行に行くバス代がないからうやむやにしていましたけれど。
自転車で行って下ろしてきますわ」
「銀行?バス代?その辺のATMでいいじゃねーか」
「いや。石川県に一軒しかない東京の銀行なんですよ。
しかもカードじゃないので、判子押さないと」
「はあ」
金額が金額だと管理も大変なんだな。