鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
現実ではありえない理想の世界。
こんなことを言われてみたい。
こんな人と出会ってみたい。
こんなところに行ってみたい。
すべてが思いのままの、素敵な展開。
作品の中は、そんなものの塊でできている。
楽しくないわけがない。
(このエッセイだけは現実世界のものですが)
これからも一人でも多くの方が、読んでくださいますように。
そう願って打ち込みながら、指がつる。
ピキーン。
「いてっ」
でも、やめない。
ライチがそんな私を不思議そうに見ている。
「…チキンソテーか。美味そうだ。よし、今夜のおかずはこれにしよう」
作品のなかで悠馬が作ったそれを思い出し、メニューを決める。
案外、夢物語は、現実からそう遠く離れてはいないのかも知れない。
日常の中にも、幸せはたくさんあるのだから。
そんなカッコいいことを思っていると、ライチが急に止まっていきみだす。
…あ。
あ~あ。
ウンチを取りながら思う。
現実はやっぱり、こんなもんか。