鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》
正直、友達は一人、一人、と結婚していく。
焦ってなかった訳じゃない。
でも、そんなにはっきりと聞かれると……。
「そんなに結婚したいなら、俺がしてやるよ」
…は?
ハトが豆鉄砲、とはまさしくあの時の私だろう。
後にも先にも、あんなにポカンとアホ面で驚いた事はない。
「は?酔ってる?」
「酔うかよ。
たかがジョッキ六杯で」
「そ、…そうだよね」
私も彼もかなりの酒好きである。
ある時、彼と行った焼肉屋のレシートをたまたま父に見られ、父は『テーブル二名様』と『生ビール中ジョッキ十五杯』という文字を見て固まっていた。