鳴瀬菜々子の奇妙な日常《まあ、いっか》

いや、…やめよう、何かを言うのは。

俺は、こういう宿命なんだよ、きっと。

俺が黙って菜々子を見ていると、彼女が怪訝な顔で俺を見返す。

「…何よ…。何か言いたい事でも?」

………。

「いや、ううん。
何もないよ」

「…え。……怒ったの?」

「いや、別に」

……今さら…。

「何?怒ったの?」

「怒ってないって」

彼女が段々、焦り始める。

「やだ、怒らないで」

だから……。


うるさいなぁ…。

菜々子に咄嗟に軽くキスをする。

「!」

……やっと、黙った。

唖然とする菜々子から離れてテレビの近くへと向かう。




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