30女のレンアイ事情
でもさ、理由聞かなきゃ納得できない。
コイツ腹立つのに、
なんでかなぁ、
どうしてか私、コイツのことほっとけないんだ。
「言いづらいのは分かる。でも、」
「ごめん。今は言えないんだ。今は。」
は?
私の言葉を軽く遮り、日向くんは高揚のない声でそう言った。
さっきまでムカつく笑みを浮かべていやがったくせになんなんだよ。
「…でも、いつか言うよ。必ず。だからさ───…、」
そこで言葉を切ると、日向くんは私の隣に座り直した。
な、なに?
肩と肩が触れ合いそうな距離。
なんだか恥ずかしくなって顔を俯けると、するりと自分の指に熱が絡まった。
「…っ、」
見ると、日向くんの指が私の指に絡まっているではないか。
思わずその手を引くと、まるで逃がさないというふうに、私の指に深く絡まる日向くんの指の力が増した。