30女のレンアイ事情
『あー…もしもし?俺。』
耳に押し当てた携帯から低い男の声。
しかも“俺”ってなんだ。
オレオレ詐欺かっつーの!
「何のご用でしょうか?緋山さん。」
ため息をつきながら前髪をかきあげる。
そう。
電話の相手は修二。
せっかくの休日にコイツの声なんか聞きたくなかったよ。
『なんだよ。他人行儀だなー。』
笑いを含んだ憎たらしい声に殺意がわく。
だからなんの用で電話してきたんだコイツは。
「うっさい。」
『そうカリカリすんなよ。心配して電話してやってんのに。』
誰がカリカリさせてると思ってんだ。
もしかして自覚なし?
うわ。ホントもうコイツ救いようがないわ。
自覚ありだったら殴りに行ってやる。
「心配?なんの?」
『お前が無事に帰れたかのだよ!昨日はだいぶ飲んだだろ?』
「あー…うん、まぁ。」