30女のレンアイ事情
誰がアンタのカノジョになんかなるか!
「残念。生憎、男には不自由してないもんで。」
「へー。」
信じてないなコイツ。
いや、嘘なんだけど。
「とにかく。アンタはまだ若いんだから、きっと良い出会いがあるよ。生きてれば。」
最後の“生きてれば”は嫌みだ。
地味な嫌がらせ。
なんか子供みたいなことをしてしまった。
「言うね。彼氏いないくせに。」
「誰も彼氏いないだなんて言ってないわよ。」
「絶対いないね。いたら男と一緒に住まないデショ。」
「馬鹿ねぇ。そんなの関係ないわ。」
そう言った直後───。
私はまた日向に押し倒されていた。
両手をフローリングに縫いつけられていて、動けない。
「ひなた!なにするの!」
ニヤニヤと私を上から見下ろす日向。
股間蹴り上げてやろーか?
「…っ、」
ふわり、頬を撫でられて、私は固めを瞑った。
「ねぇ奈月さん。分かってんの?」
「な、なにがっ!」