30女のレンアイ事情
『あんたもいい加減いい年なんだから早く結婚してちょうだい!』
「…相手がいるならとっくに結婚してるわ」
『まったくあんたって子は…だったらお見合い!お見合いなさい!』
「はあ!?嫌!だめ、却下!」
『またそんなこと言って…たまには親孝行したらどうなの!?』
あー…。
うるっさいなぁ。
耳に当てていた携帯の画面を覗くと、もうかれこれ通話時間が30分経過している。
電話の相手はお母さん。
電話がかかってくる度に結婚の話し。
いい加減にしてもらいたいものだ。
それをまた耳に押し当て、わざと聞こえるように盛大なため息を吐いた。
「…とにかく、お見合いは絶対にイ・ヤ!もう会社に行かなきゃだから切るよ。またね!」
『え?ちょっと!待ちなさい奈月!まだ話しは………』
強制的に通話を終了させ、パタンと携帯を閉じる。
「…はあ…」
朝から無駄なエネルギーを使ってしまった。
軽く自己嫌悪になりながら、仕事に行く支度をする。