30女のレンアイ事情


そりゃ私だって両親の為にも結婚しなきゃとは思ってたけど…



その前に出逢いがないのだから仕方ないじゃないか。



かといってお見合いは嫌。



「鍵鍵…」



ローテーブルの上に無造作に置かれた部屋の鍵と車の鍵を取り上げ、スーツのポケットにしまう。



そういえばお母さんの所為で朝食食べれなかったな。



仕方ない、コンビニに寄っておにぎりでも買おう。



洗面所の鏡で髪型やら化粧やらの最終チェックをし、玄関に向かう。



昨日から脱ぎ捨てられたままのヒールに足を突っ込み、慌ただしく部屋から出る。



カギがかかったのを確認し、エレベーターに乗り地下の駐車場に向かう。



私の車は今や人気あるミニバン。



愛車だ。



車のロックを解除し、運転席に乗り込む。



そしていつものようにエンジンをスタートさせ、



いつものようにチェンジレバーをドライブに入れ、



いつものようにサイドブレーキを解除し、車を走らせた。




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