かふぇもか
それからわたしは、9ヶ月間ここを離れ海辺の街にいたこと。


カフェで働いていたこと。


その間女の子とルームシェアをしていたことなどをかいつまんで話した。


自殺未遂や恋愛話は話したらややこしいことになりそうだったので黙っておいた。


一方太一の家は高台の集合住宅にあったので、洪水や土砂崩れ等の被害は無かったそうだ。


そしてわたしがここを離れている間に電気工事士として就職出来たという。


今はインターネット“ひかり”の取り付け会社で働いているそうだ。


「今はADSLからひかりに変える人が多くて、取り付け作業で毎日忙しいんだ」


そう言って太一は照れくさそうに頭を掻いた。


「すごいじゃん!就職おめでとう。本当に良かったね」


わたしは興奮して太一の両手を握り締めた。


「それで・・・」


「うん?」


「紗美、俺と結婚してくれないか?」
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