かふぇもか
22時になり、そろそろ眠ることになった。


この間テレビは一切つけなかった。


なのに唯はわたしに話しかけもせず、何も聞いてこなかった。


彼女なりの気遣いだったのだろう。


沈黙の中で唯は本を読んでいた。


可愛らしいお菓子の本のようだった。


わたしは時間を持て余してカーテンを開けて窓の外の海を眺めたり、部屋の中をキョロキョロ眺めたりしていた。


8畳の部屋の隅に置かれたベッドの上には予想外に数体のぬいぐるみが置かれていてファンシーだった。


茶髪でピアスが沢山開いているちょっと不良っぽい唯には似つかわしくない光景だった。


思わずクスリと笑ってしまった。
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