『うさぎ』日記
第一章、大津波をのり越えて
1993年7月12日・・・離別
私は宇佐美夏帆、5才。
当時、奥尻島に住んでいた私達家族三人を
大きな災難が襲いました。
それが、北海道南西沖地震です、
家中がギシギシ音を立てながら揺れて、
壁が崩れ落ち、タンスが倒れ、
あらゆる物が上から落ちてきたの。
転がり落ちたデジタル式の
目覚まし時計は、22時17分を
表示したままで止まっていたわ。
地震の直後、父から
「津波が来る前に貴重品を持って逃げるから、
お前たちは先に行け」
との指示があり、母と私は
津波警報のサイレンが鳴り響く
暗い夜道を 足元ばかりを見て高台へと
急いでいました。
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