青空メモリー
1章
出逢いと勘違い
午前10時50分。
俺はいつも通り屋上で空を見ていた。
ただこうやって意味もなく空を見るのが好きだ。
気づけばいつも1人で空を見ていた。
屋上のフェンスの上に座り、できるだけ空に近いところで。
1人ということに寂しさは感じない。
むしろ楽で落ち着く。
今日もいい青空だ。
雲一つない。
「ちょっと待って!」
後ろから声が聞こえた。
誰だよ、いい感じだったのに。
「ちゃんと考え直して!危ないよっ!」
声のするほうを見た。
顔を見る前に強制的にフェンスから下ろされた。
フェンスは意外と高い位置にあるのに。
コイツ身長高いな、クソォ。
「まだ君が出会ってない楽しいこともなるよ!僕と探そうよ」
「…は?」
いきなり現れて意味分からないことを言うコイツ。
頭がついていかねぇ。
てかコイツ誰だ。
金色の前髪をピンでとめていて、何気に背が高い。
ネクタイの色からして同じ学年であることがわかる。
「だから自殺なんてやめよう?!」
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