青空メモリー
「お兄ちゃんのけち」
諦めたのか朝陽は自分で冷蔵庫から麦茶が入ったペットボトルを持って、俺の隣に座った。
「十夜の妹?可愛いね」
奏汰が朝陽とじゃれ始めたので俺は適当にテレビをつけて見ていた。
ちなみに今日母さんは遊びに行っている。
もちろん父さんは仕事でいない。
することのない俺は自分の世界に入ろうとしていた。
「十夜、朝陽ちゃん頂戴」
「朝陽は物じゃねーよ」
子供が好きな奏汰は朝陽を気に入り、人見知りしない朝陽はすっかり奏汰に懐いていた。
本当何しに来たんだコイツ。
人の妹奪いに来たのか。
そんなことを思ってると、奏汰が思い出したように言った。
「あ、僕アイス買って来たんだよ」
置いてあったコンビニのレジ袋から3人分アイスを取り出す奏汰。
それを早く言え。
「何人いるのか分かんなかったからとりあえず3個買ったんだけど、正解だったね」
渡されたアイスの袋をあけると、やはり溶けかかっていた。
もっと早く言えば冷蔵庫に入れてたのに。
あ、冷凍庫か?
まぁいいや。
「奏汰くんありがとー」
朝陽も喜んでるし、奏汰に感謝だな。
それから奏汰は夕方まで遊んで帰っていった。
嵐が去ったようだった。