青空メモリー
自分達で用意して自分達でつくったご飯はいつもよりおいしく感じた。
「あ、ねぇ!」
花火しようよ!と奏汰がコンビニの袋から市販の花火のセットを取り出した。
奏汰は嬉しそうにさっき買ったんだーと、話す。
周と真も乗り気で花火を2本ずつ持った。
流も右手に1本持っている。
周が家からライターを持ってきて火を付けた。
所詮市販の花火。
子供向けで大したものじゃないけど、綺麗だった。
奏汰は俺の手に花火を持たせた。
そして火をつける。
花火を持たされたのは俺だけじゃなく、紫乃もだった。
暗かった外が一瞬にして明るくなった。
早くからつけていた奏汰と真と周の花火は既に消え、新しいのに持ちかえる。
たまにはこういうのも、
「いいかもしれない」
隣で紫乃が呟いた。
俺と同じ気持ちだ。
無意識に空を見上げ、ふと思った。
奏汰達に付き合うのも悪くない。
星が瞬く夏の夜の空の下。
儚い花火を手に俺達は少しずつ、少しずつ大人になっていく。