青空メモリー
「…周?」
奏汰は驚きを隠せない。
「お前が信じらんねえよ」
今までの周とは思えない。
周はちょっと馬鹿だけどみんなに優しい眼鏡だったのに。
「仲直りしたいならそう言えばいいだろ。俺を巻き込むな」
大声とまではいかないが普段より大きい声。
奏汰が、いや教室にいる全員が凍りつくように固まった。
…怖い。
単純にそう思った。
きっとこの声を聞いた他の人も同じことを思っただろう。
「こっちの身にもなってみろ。ていうかそんなちっさいことで怒んなよ、めんどくさい。早く十夜んとこ行けば」
ガンッ
開いた口が塞がらない奏汰を置いて、淡々と話し、教室を出ていく周。
口調が全然違うんだけど。
この人、ほんとに周?
声もだけど、顔も相当怖い。
笑っている。
それもいつもの笑顔ではない。
何か違う。
黒いオーラが出てる。
せっかくの整っている顔が台無しだ。
教室は静まり返る。
物音一つ聞こえない。
周出ていく時に、ドアがガンッていったよな。
普通じゃ有り得ない音出たけど大丈夫なのか…?