青空メモリー
「食べれそうなの買って来たぞ」
流がくれたコンビニのレジ袋には、林檎とスポーツドリンクといくつかのお菓子。
最後のは俺へのものではないだろう。
ありがたく受け取り、礼を言う。
「いろいろありがとう。でもうつるから帰ってくれ。そして学校に行ってくれ」
俺がそう告げると奏汰は
「あぁ、それなら由紀ちゃんに許可とったよー」
と満面の笑みで答えた、
俺の知ってる由紀ちゃんは1人だけ。
「ほら」
奏汰が差し出した携帯の画面にはとあるメール。
送信者は由紀ちゃん。俺の母親。
「あらありがとう、助かるわ、うつらないように十夜をよろしくね…」
文面は顔文字とひよこの絵文字が混じっていた。
「…はぁ」
俺はため息をついた。
しかし少し安心もした。
風邪をひくと誰だって心細くなるものだ。
朝陽が帰ってきて、こいつらをみたら喜ぶだろうな。
次の日には俺はすっかり元気になったが、奏汰が風邪をひき、学校を休んだ。
人にうつすとなおるってのは本当です。