太陽と雪
「ありがとう。
助かったわ」

使用人から、無事に私の元へと紙の原本が行き渡った。

盗まれる可能性も考慮し、院長が原本を渡してくれたみたい。

「お嬢様。
重要なお話はお済みですか?」

「ええ。
大丈夫よ」

「ディナーの時間に致しましょう」

いつもより量が多いフレンチを胃に入れながら、矢吹に言う。

「あの紙をジェームズに預けたの、城竜二家の使用人みたいよ?」

「さようでございますか……」

矢吹は、妙に納得した表情をしていた。


「矢吹、貴方、何か隠してない?
気のせいかしら」

「気のせいでございますよ。

あの、テーマパークのホテルでのカクテルパーティーのときから気になっていることはありましたが。

それはこの件には何ら関係のないことですから、お気になさらず」

「そう、それならいいわ」

何で、城竜二の使用人が女性獣医師限定コンテストなんて企画したのかしら。

私には関係ないことだけれど。

気になるから、麗眞にでも調べさせようかしら。


知らなかった。

私なんかより、麗眞のほうが、かなり調査していたんだ。

麗眞の頭の中は、仕事と椎菜ちゃんで一杯なのだとばかり思っていた。

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