太陽と雪

お見舞い

………翌日。

せっかくだから、と梓も一緒に朝食を囲んだ後に彼女は帰っていった。



え。


梓は行かないの?


ちょっと……待ってよ……


私一人って……行きづらいじゃない。



「大丈夫でございますか?
彩お嬢様」



「ええ。なんとか」


さっそく、病院に向かった。

だけど。



「申し訳ありません、お嬢様。

藤原は、面会謝絶ということになっております」


ちょ……ちょっと待ちなさいよ。


美崎が言ってたわ。


彼の親はお見舞いに来てるって……


どういうこと……?



「申し訳ございません……
藤原が、彩お嬢様にだけは会いたくないと……」


もういい。


知らないわよっ!
藤原なんて!

一瞬でも、彼に想いを伝えて、恋人になれたらと考えた私がバカだった。

私は走って病院を出ると、何も言わずにリムジンに乗り込んで、ただひたすら泣いた。

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