太陽と雪
「もったいぶらないで。
早く言いなさいよ……美崎!
時間は有限よ」
「おそらく、彩。
貴女の家に辞表を出す前に、私のお母さまが藤原さんを拉致ったのよ。
そこは、申し訳ないわ。
それで、私も何とかして、お母さまが貴女の家に手を出すのを防がなきゃって……
そう思ったの。
藤原さん、彩のこと、まだ大好きだって……
知ってたから。
それを逆手に取って、私が藤原さんに命じた。
彩の家をこっそり監視するように、ってね」
「何でなの……?」
私は、それだけが疑問だった。
「ん?
私、獣医でしょ?
獣医でも人間の病気に関することは分かるの。
本職の医者には負けるけど。
藤原さんの咳の仕方で分かったわ。
喘息と気管支炎を患ってる、って。
放置すれば、肺炎になりかねないことも……ね。
彼は分かってたんでしょ。
これ以上、彩の執事の仕事は出来ないってことを。
城竜二家にいながら、彩のことも見守れる。
藤原さんにとってはいいことじゃない?」
「確かに。
姉さんの様子はうかがえるしな」
麗眞が口を挟んだ。
「藤原……ちゃんと……私のこと好きでいてくれてたんだね。
美崎のところにいても……ちゃんと私のこと気にしてくれていたんだね……
私の方はというと、藤原の身体のことになんて、全然気を遣ってなかったのに」
そう言ったきり、涙が溢れてきた。
「彩……」
「心配しないで……大丈夫だから」
「彩、大丈夫じゃないでしょ?」
「ホントだよ。
姉さんのことなんて、お見通しなんだからな。
部屋まで連れて行ってやるから、寝とけ?
安心しろ。
実の姉に手なんて出さねぇよ。
何度も言ってるが、俺は椎菜にしか欲情しないの」
容赦なく、一言二言多い麗眞に抱っこされて、部屋まで連れて行かれた。
早く言いなさいよ……美崎!
時間は有限よ」
「おそらく、彩。
貴女の家に辞表を出す前に、私のお母さまが藤原さんを拉致ったのよ。
そこは、申し訳ないわ。
それで、私も何とかして、お母さまが貴女の家に手を出すのを防がなきゃって……
そう思ったの。
藤原さん、彩のこと、まだ大好きだって……
知ってたから。
それを逆手に取って、私が藤原さんに命じた。
彩の家をこっそり監視するように、ってね」
「何でなの……?」
私は、それだけが疑問だった。
「ん?
私、獣医でしょ?
獣医でも人間の病気に関することは分かるの。
本職の医者には負けるけど。
藤原さんの咳の仕方で分かったわ。
喘息と気管支炎を患ってる、って。
放置すれば、肺炎になりかねないことも……ね。
彼は分かってたんでしょ。
これ以上、彩の執事の仕事は出来ないってことを。
城竜二家にいながら、彩のことも見守れる。
藤原さんにとってはいいことじゃない?」
「確かに。
姉さんの様子はうかがえるしな」
麗眞が口を挟んだ。
「藤原……ちゃんと……私のこと好きでいてくれてたんだね。
美崎のところにいても……ちゃんと私のこと気にしてくれていたんだね……
私の方はというと、藤原の身体のことになんて、全然気を遣ってなかったのに」
そう言ったきり、涙が溢れてきた。
「彩……」
「心配しないで……大丈夫だから」
「彩、大丈夫じゃないでしょ?」
「ホントだよ。
姉さんのことなんて、お見通しなんだからな。
部屋まで連れて行ってやるから、寝とけ?
安心しろ。
実の姉に手なんて出さねぇよ。
何度も言ってるが、俺は椎菜にしか欲情しないの」
容赦なく、一言二言多い麗眞に抱っこされて、部屋まで連れて行かれた。