太陽と雪
待て待て!
なんでいきなりそうなるんだ?
話がぶっ飛びすぎている。
確かに、ヨリは戻した。
でも、ヨリを戻してから、恋人らしいことはまだ何もできていない。
もちろん、結婚したい。
その気持ちはきちんとある。
椎菜がいれば、俺は他に何も要らない。
幼少の頃から宝月の屋敷にも頻繁に遊びに来ていた椎菜なら俺を任せるには安心で、親公認の仲ってことだろう。
そんなことを思いながら、スキップでもせんばかりの心持ちで椎菜のいる病室に戻る。
「なんだって?
お姉さん、怒ってたの?
なんかごめんね?
私のせいだよね。
今度、お家行ったら、彩さんにも謝っておかなきゃ」
「大丈夫、椎菜が心配することじゃないよ」
「そう。
それなら、いいんだけど。
無理しないで、何か急ぎの用があるなら帰っていいからね?」
「椎菜さ、バカ?
俺が椎菜を置いて帰るワケないでしょ?
いままで何か煮え切らない、曖昧な関係だったから、今度はちゃんと退院するまで見守っていたいの。
高校時代の奴ら、とりわけ深月ちゃんとか華恋ちゃんに話したら、いい酒の肴にされそうなくらいにな。
あのホテルとか、コンテストとかでは抱きしめちゃったりしたけど。
あと、お台場を歩いているときにたまたま見かけた椎菜の先輩獣医師を新しい彼氏と勘違いして妬いたりしたけど。
こういう、公私混同をやっちゃってたけど。
でも、今は違うよね。
またこうして一緒になれたんだし。
ちゃんと元気になる椎菜を横で見守らせてほしいんだ。
ね?」
「今更謝らないでって。
私、嬉しかったんだからね?
麗眞がぎゅって……してくれて。
麗眞の体温、懐かしいなって思った。
それに、お台場に麗眞いたの、今知った……
ごめん!
あのとき、私は男の人が結婚祝いに何貰ったらいいか分からなくて。
結婚式挙げた経験のある、所帯持ちの先輩獣医師に無理を言って買い物についてきてもらったの。
美冬は好みわかるけど、美冬の旦那の小野寺くんの方はよく分かんなかったから。
気を悪くしたよね、ごめんなさい!」
「そう言うと思った。
椎菜なら。
それに、その件はもう謝るなよ。
あのさ、お互いに言葉足らずのコミュニケーションで満足してた結果が距離置くことになったんだろうし。
俺も悪かったと思ってる。
高校時代、散々深月ちゃんや道明に言われてたんだよな。
俺たちは今が過保護なくらい近くにいすぎるから、離れたときに脆い、って。
その意味、今やっと分かった気がするし」
俺がそう言うと、椎菜が俺に抱きついてきた。
ホント可愛い。
ぬいぐるみより可愛いわ。
本当は、今すぐにでもめちゃくちゃに抱いてやりたいくらいだけど。
今はやめておこう。
まだ病み上がりなのだ。
今度こそ、軽く椎菜にキスでもしてやろうと思った、その時だった。
外からのノックの音と同時に、高沢の声が。
「椎菜さま?
起きていらっしゃいますか?」
チッ……
いいところだったのに……
空気読めよな。
相沢も、高沢も。
姉さんも。
いつもいつも、邪魔が入る。
「あ、高沢さん?
どうぞ?」
椎菜も、何気高沢に懐いてるし。
「朝食をお持ちしました。
ご無理はなさらず、椎菜さまの食べられる分だけでかまいませんからね?」
「ありがとうございます」
「これ、高沢が作ったの?」
「さすがに作ってはおりません。
しかしながら、私が直接、栄養士に指示をしました。
これくらいは関与しませんと。
椎菜さまはいずれ、宝月家の一員となる方ですので」
高沢の言葉に、椎菜の箸を動かす手がピタリと止まった。
なんでいきなりそうなるんだ?
話がぶっ飛びすぎている。
確かに、ヨリは戻した。
でも、ヨリを戻してから、恋人らしいことはまだ何もできていない。
もちろん、結婚したい。
その気持ちはきちんとある。
椎菜がいれば、俺は他に何も要らない。
幼少の頃から宝月の屋敷にも頻繁に遊びに来ていた椎菜なら俺を任せるには安心で、親公認の仲ってことだろう。
そんなことを思いながら、スキップでもせんばかりの心持ちで椎菜のいる病室に戻る。
「なんだって?
お姉さん、怒ってたの?
なんかごめんね?
私のせいだよね。
今度、お家行ったら、彩さんにも謝っておかなきゃ」
「大丈夫、椎菜が心配することじゃないよ」
「そう。
それなら、いいんだけど。
無理しないで、何か急ぎの用があるなら帰っていいからね?」
「椎菜さ、バカ?
俺が椎菜を置いて帰るワケないでしょ?
いままで何か煮え切らない、曖昧な関係だったから、今度はちゃんと退院するまで見守っていたいの。
高校時代の奴ら、とりわけ深月ちゃんとか華恋ちゃんに話したら、いい酒の肴にされそうなくらいにな。
あのホテルとか、コンテストとかでは抱きしめちゃったりしたけど。
あと、お台場を歩いているときにたまたま見かけた椎菜の先輩獣医師を新しい彼氏と勘違いして妬いたりしたけど。
こういう、公私混同をやっちゃってたけど。
でも、今は違うよね。
またこうして一緒になれたんだし。
ちゃんと元気になる椎菜を横で見守らせてほしいんだ。
ね?」
「今更謝らないでって。
私、嬉しかったんだからね?
麗眞がぎゅって……してくれて。
麗眞の体温、懐かしいなって思った。
それに、お台場に麗眞いたの、今知った……
ごめん!
あのとき、私は男の人が結婚祝いに何貰ったらいいか分からなくて。
結婚式挙げた経験のある、所帯持ちの先輩獣医師に無理を言って買い物についてきてもらったの。
美冬は好みわかるけど、美冬の旦那の小野寺くんの方はよく分かんなかったから。
気を悪くしたよね、ごめんなさい!」
「そう言うと思った。
椎菜なら。
それに、その件はもう謝るなよ。
あのさ、お互いに言葉足らずのコミュニケーションで満足してた結果が距離置くことになったんだろうし。
俺も悪かったと思ってる。
高校時代、散々深月ちゃんや道明に言われてたんだよな。
俺たちは今が過保護なくらい近くにいすぎるから、離れたときに脆い、って。
その意味、今やっと分かった気がするし」
俺がそう言うと、椎菜が俺に抱きついてきた。
ホント可愛い。
ぬいぐるみより可愛いわ。
本当は、今すぐにでもめちゃくちゃに抱いてやりたいくらいだけど。
今はやめておこう。
まだ病み上がりなのだ。
今度こそ、軽く椎菜にキスでもしてやろうと思った、その時だった。
外からのノックの音と同時に、高沢の声が。
「椎菜さま?
起きていらっしゃいますか?」
チッ……
いいところだったのに……
空気読めよな。
相沢も、高沢も。
姉さんも。
いつもいつも、邪魔が入る。
「あ、高沢さん?
どうぞ?」
椎菜も、何気高沢に懐いてるし。
「朝食をお持ちしました。
ご無理はなさらず、椎菜さまの食べられる分だけでかまいませんからね?」
「ありがとうございます」
「これ、高沢が作ったの?」
「さすがに作ってはおりません。
しかしながら、私が直接、栄養士に指示をしました。
これくらいは関与しませんと。
椎菜さまはいずれ、宝月家の一員となる方ですので」
高沢の言葉に、椎菜の箸を動かす手がピタリと止まった。