太陽と雪
なんとか間に合った。
相沢に感謝だ。
朝早くから元気だな……
皆、もう来てるし……
大学生の体力に、ついていけるかな……
さすが、体育学部?
「……おはようございます。
今日から護身術部門のみ、教えることになりました、宝月です。
よろしくお願いします。
現職が刑事なので、実践的なものを中心に教えようと思います」
それだけを言って、さっそく実技に入る。
まず、護身術がなぜ必要か、分からせるためにパソコンを起動させ、パワーポイントを開く。
「日本は、世界の中でも珍しい、比較的治安のいい国として知られている。
だけど、それは確実じゃない。
近頃じゃ、恐喝や強盗だけじゃなく、通り魔とか無差別殺人なども増えている。
この通り、近年の日本国内の犯罪データはこうなっている」
資料を的確に映して、説明を進めていく。
「更に、海外は日本とは勝手が違う。
海外で傷害事件等に遭っても、現地の警察が対応してくれないケースも多々あるのです。
だからこそ、今この時代に護身術が必要、というわけです」
親父やおふくろが携わった事件を思い浮かべながら話をうまくまとめた。
「よし、まずは、構えから入る」
「アニメとかドラマとかでまっすぐ相手と向き合ってるところをよく見るでしょ?
だからといって、まっすぐ前を向いていちゃダメだ。
半身を相手に向けると、相手から来た攻撃をかわせるから。
理想は、利き手と逆の足を左手に出しておくことだ」
生徒をペアにさせて、半身で対峙する練習をさせた。
やはり生徒は女子が多い。
まあ、いいことだ。
痴漢や盗撮といった犯罪の被害に遭いやすいのは女性の方だ。
実際被害を受けたときに助けを求められず、泣き寝入りする人も多いと聞く。
この中の生徒には、そういう目に遭ってほしくない。
「よし。
受け身の練習も体勢も大丈夫そうだから、次はとりあえず、武器になりそうなものは使えってことを教える。
ハイヒールとかは、甲の部分を持って脇に隠して相手が近づいてきたときにかかと部分で横っ面を音がするくらい思い切り殴って、怯んだ隙に逃げるといいよ」
あと携帯電話もね、手に握ってまっすぐ相手の鼻めがけて思いきり当ててやると、逃げる時間は稼げる」
「じゃ、ちょっとやってみようか。
その他、使えるものは何でも使っていい」
あらかじめ、相沢に頼んで、昨日のうちに空き缶や石、木の棒、鍵など、使えそうなものはグラウンドに散らかしておいたのだ。
皆、使えるものは使う、という心構えを分かってくれたようだ。
最初の説明に時間をかけすぎたせいか、もう授業は終わりの時間だった。
「じゃあ、今日は終わりにします。
次回から本格的にやるから、覚悟しておいてください」
相沢に感謝だ。
朝早くから元気だな……
皆、もう来てるし……
大学生の体力に、ついていけるかな……
さすが、体育学部?
「……おはようございます。
今日から護身術部門のみ、教えることになりました、宝月です。
よろしくお願いします。
現職が刑事なので、実践的なものを中心に教えようと思います」
それだけを言って、さっそく実技に入る。
まず、護身術がなぜ必要か、分からせるためにパソコンを起動させ、パワーポイントを開く。
「日本は、世界の中でも珍しい、比較的治安のいい国として知られている。
だけど、それは確実じゃない。
近頃じゃ、恐喝や強盗だけじゃなく、通り魔とか無差別殺人なども増えている。
この通り、近年の日本国内の犯罪データはこうなっている」
資料を的確に映して、説明を進めていく。
「更に、海外は日本とは勝手が違う。
海外で傷害事件等に遭っても、現地の警察が対応してくれないケースも多々あるのです。
だからこそ、今この時代に護身術が必要、というわけです」
親父やおふくろが携わった事件を思い浮かべながら話をうまくまとめた。
「よし、まずは、構えから入る」
「アニメとかドラマとかでまっすぐ相手と向き合ってるところをよく見るでしょ?
だからといって、まっすぐ前を向いていちゃダメだ。
半身を相手に向けると、相手から来た攻撃をかわせるから。
理想は、利き手と逆の足を左手に出しておくことだ」
生徒をペアにさせて、半身で対峙する練習をさせた。
やはり生徒は女子が多い。
まあ、いいことだ。
痴漢や盗撮といった犯罪の被害に遭いやすいのは女性の方だ。
実際被害を受けたときに助けを求められず、泣き寝入りする人も多いと聞く。
この中の生徒には、そういう目に遭ってほしくない。
「よし。
受け身の練習も体勢も大丈夫そうだから、次はとりあえず、武器になりそうなものは使えってことを教える。
ハイヒールとかは、甲の部分を持って脇に隠して相手が近づいてきたときにかかと部分で横っ面を音がするくらい思い切り殴って、怯んだ隙に逃げるといいよ」
あと携帯電話もね、手に握ってまっすぐ相手の鼻めがけて思いきり当ててやると、逃げる時間は稼げる」
「じゃ、ちょっとやってみようか。
その他、使えるものは何でも使っていい」
あらかじめ、相沢に頼んで、昨日のうちに空き缶や石、木の棒、鍵など、使えそうなものはグラウンドに散らかしておいたのだ。
皆、使えるものは使う、という心構えを分かってくれたようだ。
最初の説明に時間をかけすぎたせいか、もう授業は終わりの時間だった。
「じゃあ、今日は終わりにします。
次回から本格的にやるから、覚悟しておいてください」