太陽と雪
俺の言葉に頷く相沢。
その様子をミラー越しに見た椎菜は、申し訳なさそうにうつむいて言った。
「私じゃなくて、麗眞の家がいい……」
椎菜が言いたいことは分かっていた。
高校時代はさんざん椎菜とシていたこと。
あまりにも頻度が高すぎたため、高校時代の友人も心配された。
乗り気じゃないときもあったが、遠慮してそう言えなかった椎菜。
そんな彼女を見かねて、屋敷に連れ込んで抱く頻度を2週間に1回にした。
その分濃厚な時間を過ごすことにした。
最後に椎菜の白い肌をと甘美な鳴き声を味わったのは、彼女から距離を置きたいと言われた、カナダでの日。
あの日以来、ご無沙汰だ。
椎菜の今の誘い方からして、優しく出来る余裕はない。
可愛いな、ホント。
「分かったよ。
椎菜がそれでいいなら。
頼んだぞ、相沢」
「かしこまりました」
俺の家まで、相沢は静かに車を走らせた。
家に着くと、親父もおふくろもいなかった。
かろうじて姉さんの部屋からカタカタカタとキーボードを操作する音が聞こえるのみだった。
「お姉さん、帰ってきてるのね」
「帰ってはいるけど、なんか忙しいみたい。
また経営に関する本出すみたいで、日夜原稿を執筆してるよ」
「ごめんね?
まさかこんな時間に麗眞に会えるなんて思ってなかったから、先に夕食済ませちゃったのよ」
「謝るなよ。
いい子にしてろよ?
椎菜」
椎菜の頭を撫でたあと、俺はいつも通りの夕食を、食堂にてとった。
「ん?
相沢、このハンバーグ、いつもより肉上質?」
「はい。
たまにはと思いまして」
「ありがと。
美味い」
「恐れ入ります」
夕食を済ませると、部屋に1人残された椎菜の元に向かった。
いつも俺が過ごす部屋と違って、壁や窓際のサッシは黒、窓際にダブルベッドを備えてある部屋。
ベッドの傍に観葉植物やスタンドライト、低いテーブルまである。
とことん、”大人っぽさ”にこだわった部屋だ。
そして何より。
この部屋で何をしようと、声が外に漏れることはない。
「椎菜?
いる?」
椎菜は、窓際のベッドに腰掛けて月やら星空を眺めていた。
俺の声に振り向くと、可愛い笑顔を見せる。
「あ、おかえりなさい!
麗眞も見る?
月が綺麗だよ?」
俺を見てベッドから立った椎菜を、後ろからそっと抱きしめる。
「確かに、月も綺麗だけどさ。
椎菜の方が綺麗」
耳元で囁きながら、さりげなく俺が着ていたジャケットを彼女の肩に羽織らせる。
「窓際でそんな薄着でいるなんてさ、また風邪引いても知らねぇぞ?」
「いいもん……麗眞にあっためてもらうから」
肩がレース素材で透けるようになってる黒ミニワンピース着て、何言ってんだか。
しかも、あろうことかノースリーブだ。
「俺の前でそんなエロい格好してんなよ椎菜。
俺のこと誘ってる?」
そう言って、不意打ちでキスをしてやる。
「んっ……」
こんなので、足りるはずがない。
舌が幾度も絡み合う音と漏れる甘い声が、静かな部屋に響いた。
立っていられなくなったらしい椎菜は、膝から崩れ落ちそうになる。
軽く抱きしめてやりながら、また耳元で婚約者に囁く。
「下手したらこの屋敷の下を通った通行人から見えるよ?」
もちろん、見えるわけないけど。
ここ、4階だし。
「こんなとこじゃ嫌……
ちゃんとしたとこでしたい……
昔みたいに、私のこと抱いてよ、麗眞」
仕方ねえな……
可愛い婚約者の頼みなら、断れない。
そう言って、椎菜を軽く抱き上げてベッドに寝かせてやった。
その様子をミラー越しに見た椎菜は、申し訳なさそうにうつむいて言った。
「私じゃなくて、麗眞の家がいい……」
椎菜が言いたいことは分かっていた。
高校時代はさんざん椎菜とシていたこと。
あまりにも頻度が高すぎたため、高校時代の友人も心配された。
乗り気じゃないときもあったが、遠慮してそう言えなかった椎菜。
そんな彼女を見かねて、屋敷に連れ込んで抱く頻度を2週間に1回にした。
その分濃厚な時間を過ごすことにした。
最後に椎菜の白い肌をと甘美な鳴き声を味わったのは、彼女から距離を置きたいと言われた、カナダでの日。
あの日以来、ご無沙汰だ。
椎菜の今の誘い方からして、優しく出来る余裕はない。
可愛いな、ホント。
「分かったよ。
椎菜がそれでいいなら。
頼んだぞ、相沢」
「かしこまりました」
俺の家まで、相沢は静かに車を走らせた。
家に着くと、親父もおふくろもいなかった。
かろうじて姉さんの部屋からカタカタカタとキーボードを操作する音が聞こえるのみだった。
「お姉さん、帰ってきてるのね」
「帰ってはいるけど、なんか忙しいみたい。
また経営に関する本出すみたいで、日夜原稿を執筆してるよ」
「ごめんね?
まさかこんな時間に麗眞に会えるなんて思ってなかったから、先に夕食済ませちゃったのよ」
「謝るなよ。
いい子にしてろよ?
椎菜」
椎菜の頭を撫でたあと、俺はいつも通りの夕食を、食堂にてとった。
「ん?
相沢、このハンバーグ、いつもより肉上質?」
「はい。
たまにはと思いまして」
「ありがと。
美味い」
「恐れ入ります」
夕食を済ませると、部屋に1人残された椎菜の元に向かった。
いつも俺が過ごす部屋と違って、壁や窓際のサッシは黒、窓際にダブルベッドを備えてある部屋。
ベッドの傍に観葉植物やスタンドライト、低いテーブルまである。
とことん、”大人っぽさ”にこだわった部屋だ。
そして何より。
この部屋で何をしようと、声が外に漏れることはない。
「椎菜?
いる?」
椎菜は、窓際のベッドに腰掛けて月やら星空を眺めていた。
俺の声に振り向くと、可愛い笑顔を見せる。
「あ、おかえりなさい!
麗眞も見る?
月が綺麗だよ?」
俺を見てベッドから立った椎菜を、後ろからそっと抱きしめる。
「確かに、月も綺麗だけどさ。
椎菜の方が綺麗」
耳元で囁きながら、さりげなく俺が着ていたジャケットを彼女の肩に羽織らせる。
「窓際でそんな薄着でいるなんてさ、また風邪引いても知らねぇぞ?」
「いいもん……麗眞にあっためてもらうから」
肩がレース素材で透けるようになってる黒ミニワンピース着て、何言ってんだか。
しかも、あろうことかノースリーブだ。
「俺の前でそんなエロい格好してんなよ椎菜。
俺のこと誘ってる?」
そう言って、不意打ちでキスをしてやる。
「んっ……」
こんなので、足りるはずがない。
舌が幾度も絡み合う音と漏れる甘い声が、静かな部屋に響いた。
立っていられなくなったらしい椎菜は、膝から崩れ落ちそうになる。
軽く抱きしめてやりながら、また耳元で婚約者に囁く。
「下手したらこの屋敷の下を通った通行人から見えるよ?」
もちろん、見えるわけないけど。
ここ、4階だし。
「こんなとこじゃ嫌……
ちゃんとしたとこでしたい……
昔みたいに、私のこと抱いてよ、麗眞」
仕方ねえな……
可愛い婚約者の頼みなら、断れない。
そう言って、椎菜を軽く抱き上げてベッドに寝かせてやった。