太陽と雪

秘密の関係

翌朝、オレは椎菜に起こされた。

「ん……椎菜?」

「麗眞……おはよ。

ごめん、私、今日は先に行くね?

学生の実験の用意しなきゃ。
じゃあね?」

それだけを言って、昨日のままのミニ丈ワンピースにクリーム色のニットを重ねた格好で俺の家から大学に向かって行った。

「ったく……」


部屋が暗いままであること。

きちんと、蟻が通る隙間もないくらい丁寧に閉められたカーテン。

床に落ちたワイシャツや下着に、ぐちゃぐちゃになったシーツ。

くずかごにいくつも放り込まれているティッシュペーパーで何重にもくるまれたもの……

これらを見て、ようやく思い出した。

昨夜、椎菜と俺がこの部屋でどんなことをしていたか。

今思い返すと、椎菜とこんなに濃厚なことをシたのはこんな形で再会してからは初めてだ。

相変わらずの甘いソプラノトーン。

あの頃より大きさこそ増したが、柔らかさは変わらない2つの膨らみ。

蜜の甘さも湧き出る量の多さも、あの頃のままで。

彼女と繋げたときの締め付け具合も、あの頃と何ら変わらないまままだった。

その感覚を1度ならず3度味わって、一緒にシャワーを浴びながらの4度目に突入した。

その後に、なんとかベッドまでは戻ってきた。そこでお互い眠ってしまったのだった。

今思えば、あんな無防備な格好をさせて、大丈夫だろうか。

今日は、久しぶりに講義や講演などはない。

俺の優秀な執事を内線で呼び出す。

「……相沢。

今日、予定より早めに朝食にして?

俺も椎菜がいる大学行くわ」

「了解致しました」

バレなきゃいいけど。
椎菜がこれから接するであろう学生たちに。

それだけが、俺は心配だった。

俺は大学に向かうと、図書館でパソコンをいじってから、昼食をとり、フィットネスルームに向かった。

キャンパス内にあるジムだ。
しばらく運動して、すべてのマシンをやりつくした頃だった。

ダーン!
突然、キャンパス内で拳銃でも撃ったヤツがいたのかと思うほどの轟音が室内まで響いたのだ。

外を何気なく見ると、もう、かなり丈夫な傘なしでは防げないくらい大粒の雨が地上へ降り注いでいた。

ゲリラ豪雨らしい。

やっと解けた。
今日、屋敷を出る時に、相沢が傘を2本持たせてくれた意味が。

どこにいるんだよ……?

椎菜……。

今朝、急いで出ていったあの様子だと、傘を持っていない。


さらに、俺もあの時は完全に寝起きで、深夜の情事の余韻に浸っていた。

そのせいで下半身が大変なことになっていたため、それを落ち着かせようと必死だった。

だからこそ定かではないが、きっと、昨日と同じく、パソコンが入った重そうなトートバッグを持っていた。

この雨に雷……

確実に、パソコンには支障が出る。

……ちゃんと、電源切ってるよな?

椎菜が講義をしているのは、今俺がいる手前の建物。

室内に退避するとしたら、ここだろう。


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