太陽と雪
数分後、オーストリアへ向けてヘリが1機、飛び立った。
「寝ちゃってるの、悠香。
可愛いわ、ホントに」
子供を愛おしそうに見つめる悠月さんの眼差しはとても優しかった。
いつか、こんな風になれるのかな。
俺と椎菜も。
まだ見ぬ、俺と椎菜の子供を想像してみる。
想像したのが、マズかった。
ベッドの上での可愛い椎菜も一緒に想像してしまい、俺自身の雄が反応したのが分かった。
「和之さま。
娘の悠香さまをお貸しくださいませ。
あとは宝月の優秀な人材であらせられる、橋本に預けますので。
お二人は、ごゆっくり、夫婦でおくつろぎください」
チャイルドマインダーの資格と保育士の資格を持ち、保育園の園長も務めた経歴があるという、橋本さん。
50代のおばさんにはとても見えない。
「ありがとうございます」
「大丈夫よ。
これが私の本来の仕事だもの」
「この間は中断されたからな。
僕はこの場でもいいけど?」
和之さんは、とっくに雄のスイッチが入ったようで、奥さんのスカートの裾に軽く手を掛けてなにやら耳元で囁いている。
「コックピットの横入ったところに仮眠とるためのスペースあるよ?
そこでイチャついてきたら?
楽しんできてね、お二人さん。
俺は、慣れてるから。
……姉さんと違って」
俺がそう言うと、夫婦仲良く、コックピット横に消えて行った。
よろしくやっているのを想像すると、俺も欲が溢れ出てきそうなのを、必死で抑える。
イチャイチャを見ているのが辛かったから、自らあの夫婦を遠ざけたのだ。
「30分で着く頃に教えろ、相沢。
俺は、トイレに行ってくる」
「かしこまりました。
麗眞坊ちゃま。
お気を付けて」
「っ……!
……やべ」
自分で処理をし、後始末も終えた頃、ちょうど相沢からメールが来た。
あと35分ほどで、目的地に到着するという。
トイレから出て、機内に戻った。
放送で、まだイチャついているであろう夫婦に向け、アナウンスをする。
『あと、30分ほどで、当ヘリはオーストリアへと到着致します。
時計を現地時間に合わせる等の準備をするとともに、席にお戻り頂き、シートベルトを必ずご着用なさいますよう、お願い申し上げます』
アナウンスをして、数分後に彼らが戻ってきた。
奥さんの方の目が、とろんとしていて、さぞかし濃厚な時間を過ごしたことが伺えた。
正直羨ましい。
「聞きました?
今のアナウンス。
あれ、放送したの俺ですからね。
なるべくイチャイチャを邪魔しないようにしたんですから。
感謝してくださいよ?」
相沢が用意した機内食、といってもミニサラダに塩パン2つ、ミルクティーというささやかすぎるもの。
俺が食べ終わっても、夫婦2人は時差がどうの誕生日がどうのと、懲りずにイチャイチャしていて、頭を抱えた。
「和之さんに悠月さん。
イチャイチャはもういいですか?
早く夜食、食べちゃってください」
「あまり食べ過ぎましても余計時差ボケがひどくなりますゆえ、ささやかなものに致しました。
もうすぐ到着ですよ」
姉さんは今頃、どうしているだろう。
そんなことを考えていると、ヘリのプロペラ音が止む。
「到着いたしましたよ?
皆様方」
着いた先は、宝月家がオーナーをしているホテルの屋上だ。
「今宵はこのホテルにご宿泊いただきます。
例の御曹司を邸宅を訪問するのは、明日ということに致しましょう」
欠伸を噛み殺している和之さんを見て、彼に部屋は37階にあるスイートルームだということを伝える。
そして、適当な部屋に入り、宝月家にTV電話を繋いだ。
「寝ちゃってるの、悠香。
可愛いわ、ホントに」
子供を愛おしそうに見つめる悠月さんの眼差しはとても優しかった。
いつか、こんな風になれるのかな。
俺と椎菜も。
まだ見ぬ、俺と椎菜の子供を想像してみる。
想像したのが、マズかった。
ベッドの上での可愛い椎菜も一緒に想像してしまい、俺自身の雄が反応したのが分かった。
「和之さま。
娘の悠香さまをお貸しくださいませ。
あとは宝月の優秀な人材であらせられる、橋本に預けますので。
お二人は、ごゆっくり、夫婦でおくつろぎください」
チャイルドマインダーの資格と保育士の資格を持ち、保育園の園長も務めた経歴があるという、橋本さん。
50代のおばさんにはとても見えない。
「ありがとうございます」
「大丈夫よ。
これが私の本来の仕事だもの」
「この間は中断されたからな。
僕はこの場でもいいけど?」
和之さんは、とっくに雄のスイッチが入ったようで、奥さんのスカートの裾に軽く手を掛けてなにやら耳元で囁いている。
「コックピットの横入ったところに仮眠とるためのスペースあるよ?
そこでイチャついてきたら?
楽しんできてね、お二人さん。
俺は、慣れてるから。
……姉さんと違って」
俺がそう言うと、夫婦仲良く、コックピット横に消えて行った。
よろしくやっているのを想像すると、俺も欲が溢れ出てきそうなのを、必死で抑える。
イチャイチャを見ているのが辛かったから、自らあの夫婦を遠ざけたのだ。
「30分で着く頃に教えろ、相沢。
俺は、トイレに行ってくる」
「かしこまりました。
麗眞坊ちゃま。
お気を付けて」
「っ……!
……やべ」
自分で処理をし、後始末も終えた頃、ちょうど相沢からメールが来た。
あと35分ほどで、目的地に到着するという。
トイレから出て、機内に戻った。
放送で、まだイチャついているであろう夫婦に向け、アナウンスをする。
『あと、30分ほどで、当ヘリはオーストリアへと到着致します。
時計を現地時間に合わせる等の準備をするとともに、席にお戻り頂き、シートベルトを必ずご着用なさいますよう、お願い申し上げます』
アナウンスをして、数分後に彼らが戻ってきた。
奥さんの方の目が、とろんとしていて、さぞかし濃厚な時間を過ごしたことが伺えた。
正直羨ましい。
「聞きました?
今のアナウンス。
あれ、放送したの俺ですからね。
なるべくイチャイチャを邪魔しないようにしたんですから。
感謝してくださいよ?」
相沢が用意した機内食、といってもミニサラダに塩パン2つ、ミルクティーというささやかすぎるもの。
俺が食べ終わっても、夫婦2人は時差がどうの誕生日がどうのと、懲りずにイチャイチャしていて、頭を抱えた。
「和之さんに悠月さん。
イチャイチャはもういいですか?
早く夜食、食べちゃってください」
「あまり食べ過ぎましても余計時差ボケがひどくなりますゆえ、ささやかなものに致しました。
もうすぐ到着ですよ」
姉さんは今頃、どうしているだろう。
そんなことを考えていると、ヘリのプロペラ音が止む。
「到着いたしましたよ?
皆様方」
着いた先は、宝月家がオーナーをしているホテルの屋上だ。
「今宵はこのホテルにご宿泊いただきます。
例の御曹司を邸宅を訪問するのは、明日ということに致しましょう」
欠伸を噛み殺している和之さんを見て、彼に部屋は37階にあるスイートルームだということを伝える。
そして、適当な部屋に入り、宝月家にTV電話を繋いだ。