太陽と雪
「起きてよ、ねぇ、麗眞ってば。
んも。
起きないなら、せっかくだから意地悪しちゃお」
鈴みたいな心地の良い声に、瞼を開ける。
椎菜が朝だからか、反応している俺の膨らみをくわえ込んでいた。
そっと手で触れられると、刺激がいけなかったのだろうか。
少し彼女の口内に液体が放たれてしまった。
「ごめん、椎菜!
でも、朝から婚約者に攻められるの、最高に気持ちよかった」
躊躇なく、出された液体を喉を鳴らして飲み込んだ彼女は、俺を見てにっこり微笑んだ。
「ううん、気にしないでいいよ。
こういうこと、学生時代は出来なかったけど。
横で揺すっても叩いても起きないから、せっかくだから特別な起こし方しただけだし」
「たまにはこういう起こされ方もいいな。
結婚したらさ、こんな感じで起こしてくれる?
お互いが休みのときでいいからさ。
ご褒美に朝から可愛い婚約者抱きたいけど、流石に体力残ってないや」
「ふふ。
私も。
明後日、とっておきの言葉を私にくれるんでしょ?
その後、昨日くらいのを予約、でいいかな?」
それは学生時代、俺がよく椎菜にしていた言い回しだった。
それをまさか彼女から言われる日が来るとは思ってもみなかった。
「任せとけ。
とびっきり甘い夜にしてあげる。
昨日くらい溜めておくね」
「もう、麗眞ったら」
コン、コン、と3回ドアを叩く音がした。
「あ、このノックの仕方、桜木さんだ。
呼びに来たのかな」
「椎菜お嬢さま、それに麗眞さま。
よく眠れましたか?
朝食の用意も出来ております。
彩さまもいらっしゃいますよ。
食堂に降りてきてはいかがですか」
椎菜は服着たりコンタクトレンズ入れたり、もろもろ準備しとけ?
代わりに俺が応対しておくよ」
椎菜の頭を軽く撫でた。
その後、下着とベッド下に落ちていたモコモコルームウェアの上下を手早く身に纏った。
いくら婚約者といえど、起き抜けの姿をマジマジと見られたくはないのだ。
数ヶ月前に学んだばかりだ。
「あ、桜木さん、おはようございます。
椎菜はいろいろ準備してる最中なんで、代わりに俺が。
準備が出来次第、一緒に下に降りますから、姉さんにもそう伝えてください」
「かしこまりました。
彩様と矢吹さんにもそうお伝えしますね。
幸せそうで、何よりです」
「ん、ありがとう、桜木さん」
ペコリと会釈をして、部屋のドアを閉める。
「わぁ、ありがとう!
助かった、麗眞!」
椎菜は、俺と色違いのモコモコのルームウェアをきちんと着ていて、うっすらとだがメイクもしていた。
昨日の入浴時からピアスホールには何もなかったが、小ぶりの星型ピアスが飾られていた。
軽く俺の頬に口づけをくれた彼女を食堂に降りようと促す。
「早く行こ、麗眞!
早くご飯食べて、麗眞と2人でいろいろまったりしたいし」
朝から可愛いことを言ってくれる婚約者だ。
婚約者が彼女で、本当に良かったな。
「あら、麗眞に椎菜ちゃん。
おはよう」
「おはようございます、彩さん!
いろいろと彩さんはじめ、皆さんが取り計らってくれたおかげです!
これで、心置きなく結納や挙式に進めます」
「良かったわ。
私のパパに桜木さんの執事としての稼働を早めるように助言したり、お寺を調べ上げて住職に口をきいたりした甲斐があった、ってことね」
姉さんが椎菜に何か言っていたが、気にしないことにした。
「ところで麗眞、結納までに用意する品は決めているの?
来週でしょう」
「ヤベ、すっかり忘れてた……」
結納の日までに、椎菜と俺のお揃いの品を用意してお披露目する。
それが、宝月家の結納の習わしになっているのだ。
何とかしておかなきゃな……
フレンチトーストとエッグベネディクトも平らげると、桜木さんに声を掛けられた。
「椎菜お嬢様と麗眞様に、封筒が届いております。
6通、封筒が麗眞様にも届いておりましたよ。
お部屋に置いてございますので、お戻りになったらご覧下さいませ」
ふと、姉さんと入れ違うようにフランスに発った相沢のことを思い浮かべた。
「大丈夫。
相沢さんなら、美崎をフランスからちゃんと連れ帰ってくれるわよ」
「そっか、美崎さんが心配で、追っていったんだよね、相沢さん。
昔から器用で、常に先を読んだ行動ができる、頭の回転が速い人だったもの、相沢さん。
きっと無事よ。
相沢さんと美崎さんの恋愛も、応援してあげないとね」
椎菜にも、そう言われて少し気が楽になった。
日は過ぎて、ついにクルーズ船に乗る日がやってきた。
一世一代の、プロポーズの日だ。
んも。
起きないなら、せっかくだから意地悪しちゃお」
鈴みたいな心地の良い声に、瞼を開ける。
椎菜が朝だからか、反応している俺の膨らみをくわえ込んでいた。
そっと手で触れられると、刺激がいけなかったのだろうか。
少し彼女の口内に液体が放たれてしまった。
「ごめん、椎菜!
でも、朝から婚約者に攻められるの、最高に気持ちよかった」
躊躇なく、出された液体を喉を鳴らして飲み込んだ彼女は、俺を見てにっこり微笑んだ。
「ううん、気にしないでいいよ。
こういうこと、学生時代は出来なかったけど。
横で揺すっても叩いても起きないから、せっかくだから特別な起こし方しただけだし」
「たまにはこういう起こされ方もいいな。
結婚したらさ、こんな感じで起こしてくれる?
お互いが休みのときでいいからさ。
ご褒美に朝から可愛い婚約者抱きたいけど、流石に体力残ってないや」
「ふふ。
私も。
明後日、とっておきの言葉を私にくれるんでしょ?
その後、昨日くらいのを予約、でいいかな?」
それは学生時代、俺がよく椎菜にしていた言い回しだった。
それをまさか彼女から言われる日が来るとは思ってもみなかった。
「任せとけ。
とびっきり甘い夜にしてあげる。
昨日くらい溜めておくね」
「もう、麗眞ったら」
コン、コン、と3回ドアを叩く音がした。
「あ、このノックの仕方、桜木さんだ。
呼びに来たのかな」
「椎菜お嬢さま、それに麗眞さま。
よく眠れましたか?
朝食の用意も出来ております。
彩さまもいらっしゃいますよ。
食堂に降りてきてはいかがですか」
椎菜は服着たりコンタクトレンズ入れたり、もろもろ準備しとけ?
代わりに俺が応対しておくよ」
椎菜の頭を軽く撫でた。
その後、下着とベッド下に落ちていたモコモコルームウェアの上下を手早く身に纏った。
いくら婚約者といえど、起き抜けの姿をマジマジと見られたくはないのだ。
数ヶ月前に学んだばかりだ。
「あ、桜木さん、おはようございます。
椎菜はいろいろ準備してる最中なんで、代わりに俺が。
準備が出来次第、一緒に下に降りますから、姉さんにもそう伝えてください」
「かしこまりました。
彩様と矢吹さんにもそうお伝えしますね。
幸せそうで、何よりです」
「ん、ありがとう、桜木さん」
ペコリと会釈をして、部屋のドアを閉める。
「わぁ、ありがとう!
助かった、麗眞!」
椎菜は、俺と色違いのモコモコのルームウェアをきちんと着ていて、うっすらとだがメイクもしていた。
昨日の入浴時からピアスホールには何もなかったが、小ぶりの星型ピアスが飾られていた。
軽く俺の頬に口づけをくれた彼女を食堂に降りようと促す。
「早く行こ、麗眞!
早くご飯食べて、麗眞と2人でいろいろまったりしたいし」
朝から可愛いことを言ってくれる婚約者だ。
婚約者が彼女で、本当に良かったな。
「あら、麗眞に椎菜ちゃん。
おはよう」
「おはようございます、彩さん!
いろいろと彩さんはじめ、皆さんが取り計らってくれたおかげです!
これで、心置きなく結納や挙式に進めます」
「良かったわ。
私のパパに桜木さんの執事としての稼働を早めるように助言したり、お寺を調べ上げて住職に口をきいたりした甲斐があった、ってことね」
姉さんが椎菜に何か言っていたが、気にしないことにした。
「ところで麗眞、結納までに用意する品は決めているの?
来週でしょう」
「ヤベ、すっかり忘れてた……」
結納の日までに、椎菜と俺のお揃いの品を用意してお披露目する。
それが、宝月家の結納の習わしになっているのだ。
何とかしておかなきゃな……
フレンチトーストとエッグベネディクトも平らげると、桜木さんに声を掛けられた。
「椎菜お嬢様と麗眞様に、封筒が届いております。
6通、封筒が麗眞様にも届いておりましたよ。
お部屋に置いてございますので、お戻りになったらご覧下さいませ」
ふと、姉さんと入れ違うようにフランスに発った相沢のことを思い浮かべた。
「大丈夫。
相沢さんなら、美崎をフランスからちゃんと連れ帰ってくれるわよ」
「そっか、美崎さんが心配で、追っていったんだよね、相沢さん。
昔から器用で、常に先を読んだ行動ができる、頭の回転が速い人だったもの、相沢さん。
きっと無事よ。
相沢さんと美崎さんの恋愛も、応援してあげないとね」
椎菜にも、そう言われて少し気が楽になった。
日は過ぎて、ついにクルーズ船に乗る日がやってきた。
一世一代の、プロポーズの日だ。