太陽と雪
皆がスカイツリーに見とれている隙に、椎菜に深く口づけた。

「ね、皆見てるし……

恥ずかしい……」

「いいじゃん、もう夫婦みたいなもんだし。

あ、そうそう、後でちゃんと、花束の中も探してみてな。

とっておきの仕掛けがあるから。

あ、ホテルの部屋取ってあるから、花束の中捜すのはそこで、ね?

とびっきりの甘い夜にしてやるから」

何をするかは、言わなくても椎菜になら分かるだろう。

「相変わらずね、2人とも。

ヨリ戻してから、余計溺愛になった、って感じ」

呆れたように言うのは、深月ちゃんだ。

「うん、でも、この感じ、懐かしいね!

美香を預けてまで来て、良かった」

「ホントだよな。

しかも、さっきの放送は、さすが美冬だ。

育休中なの、もったいない。

復帰してからもアナウンス部の華間違いなしだな」

そう言う賢人も、相変わらず美冬ちゃん溺愛のようだ。

子供を持ってから、溺愛度が増したような気もする。

「ふふ。

麗眞くん、また椎菜を流産させたりしたら、私はもう彼女を治療しないわよ?

それは冗談として。

とにかく、健康には気を遣ってやるのよ。

呼吸器、丈夫じゃないんだから」

主治医の理名に言われては、素直に頷くしかない。

「やっと、麗眞も家庭を持ったか。

そろそろ、俺たちも頃合いかな、とは思ってるけど」

そう言う拓実の横で、理名ちゃんはターコイズブルーのドレスとは反対の赤い顔をしていた。

「麗眞くんと椎菜!
おめでとう!

私と優弥なんて、今籍入れたところで絶対生徒に冷やかされるよね、って言ってるんだ。

まだ麗眞くんたちみたいになるには時間掛かりそうかな。

優弥が私のいる高校に異動して来てから、今は奇跡的に同じ学校だからね」

「俺も薬局の薬剤師だから給料そこまで……でさ。
碧の稼ぎに頼ってる感じ」

「成都輪生大学病院来る気ある?
病院薬剤師募集してるよ」

「え?マジ?

でも、激務で帰れなさそうだしな……」

こうやって皆の近況を聞いていると、学生時代に戻った心地がした。

懐かしいな、こういうの。

クルーズ船は一周して、名残惜しくも皆とは解散となった。


クルーズ船停泊地の近くのホテルの極上スイートルームを予約してある。
俺はそこに彼女を連れて行った。

極上の料理を楽しんだ後は、彼女の白い肌と甘い声という最高級のデザートを味わう時間だ。
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