太陽と雪
エントランスに到着すると、スマートフォンを出した。
「せっかくなんだし、写真撮りましょうよ!!
パパとママにも自慢してやらないと。
私たちも、こんなとこで素敵なバカンス過ごしたのよってね」
「お嬢様。
旦那さまや奥さまと張り合って何の意味が?」
「私たち、パパとママに何かあったら、次期当主よ?
次期当主になるのは、間違いなく麗眞でしょうけど。
私はサポートに回るわ。
それでも、いつまでも箱入り娘じゃないって、少しでも安心させてあげないと」
「おや。お嬢様でも、きちんと考えていらっしゃるんですね。
ご自分の家のこと。
株価と最新のファッション、旦那さまのアイドル業にしか興味がないかと」
この男は……
こんなところに来てまでさりげなく毒吐くの、いい加減にしなさいな。
空気を読みなさい。
「彩お嬢様。
拗ねていては、可愛いお顔が台無しでございますよ?」
「そうね。」
何でだろ……
毒を吐いたにしては、いつもの口調より……
優しかった気がした。
自然と、笑みがこぼれているのが分かった。
その瞬間、カメラのシャッターが切られる。
まさか……私の表情を引き出すために……
わざと毒舌を?
まさかそんなこと……ないわよね。
私の執事に限って……そんなこと、あるはずがないわ。
「姉さん。
俺、この4人で写真を撮るって認識でいたんだけど」
そう言って、私の手からスマートフォンを奪い、自撮り棒をつけて撮影する。
「姉さん、矢吹さんの近くまで寄ってくれ。
姉さん、見切れてる」
すかさず、矢吹が私の肩を引き寄せた。
突然のことでビックリして、肩に置かれた手に
男の人の手の大きさを今更ながら実感して顔が赤くなる。
……カシャ。
無遠慮なシャッター音が響いた。
「はい、オッケー。
解散!」
「撮影が終わったなら、さっさとアトラクションに乗るわよ」
時速72kmのジェットコースター。
暗闇でレールが見えない中を猛スピードで駆け抜けるのがウリらしい。
私と矢吹と、麗眞と彼の執事、相沢さんで乗ってみた。
は、いいものの……
「御手洗い行ってくるわ」
それだけ、麗眞に言い残して、早足で向かった。
最近、車を運転していないからか、酔ってしまったらしい。
周りの景色がかすんで見える。
やっぱり……進行方向が見えないのはかなりキツいわ。
戻ると、矢吹が心配そうに駆け寄ってくる。
「どうされました、お嬢様。
ご気分でも悪くされました?」
そう言って、いきなり額にかなり冷やされた缶ジュースが当てられた。
冷たっ……!
「ちょっと!
いきなり何するのよ」
吐き気する……
ここではさすがにマズイ。
そんなことばかりが頭の中にあった。
そこからほんの一瞬だけではあるが、意識をそらすことが出来た。
矢吹の手腕に、少しだけ感謝した。
「せっかくなんだし、写真撮りましょうよ!!
パパとママにも自慢してやらないと。
私たちも、こんなとこで素敵なバカンス過ごしたのよってね」
「お嬢様。
旦那さまや奥さまと張り合って何の意味が?」
「私たち、パパとママに何かあったら、次期当主よ?
次期当主になるのは、間違いなく麗眞でしょうけど。
私はサポートに回るわ。
それでも、いつまでも箱入り娘じゃないって、少しでも安心させてあげないと」
「おや。お嬢様でも、きちんと考えていらっしゃるんですね。
ご自分の家のこと。
株価と最新のファッション、旦那さまのアイドル業にしか興味がないかと」
この男は……
こんなところに来てまでさりげなく毒吐くの、いい加減にしなさいな。
空気を読みなさい。
「彩お嬢様。
拗ねていては、可愛いお顔が台無しでございますよ?」
「そうね。」
何でだろ……
毒を吐いたにしては、いつもの口調より……
優しかった気がした。
自然と、笑みがこぼれているのが分かった。
その瞬間、カメラのシャッターが切られる。
まさか……私の表情を引き出すために……
わざと毒舌を?
まさかそんなこと……ないわよね。
私の執事に限って……そんなこと、あるはずがないわ。
「姉さん。
俺、この4人で写真を撮るって認識でいたんだけど」
そう言って、私の手からスマートフォンを奪い、自撮り棒をつけて撮影する。
「姉さん、矢吹さんの近くまで寄ってくれ。
姉さん、見切れてる」
すかさず、矢吹が私の肩を引き寄せた。
突然のことでビックリして、肩に置かれた手に
男の人の手の大きさを今更ながら実感して顔が赤くなる。
……カシャ。
無遠慮なシャッター音が響いた。
「はい、オッケー。
解散!」
「撮影が終わったなら、さっさとアトラクションに乗るわよ」
時速72kmのジェットコースター。
暗闇でレールが見えない中を猛スピードで駆け抜けるのがウリらしい。
私と矢吹と、麗眞と彼の執事、相沢さんで乗ってみた。
は、いいものの……
「御手洗い行ってくるわ」
それだけ、麗眞に言い残して、早足で向かった。
最近、車を運転していないからか、酔ってしまったらしい。
周りの景色がかすんで見える。
やっぱり……進行方向が見えないのはかなりキツいわ。
戻ると、矢吹が心配そうに駆け寄ってくる。
「どうされました、お嬢様。
ご気分でも悪くされました?」
そう言って、いきなり額にかなり冷やされた缶ジュースが当てられた。
冷たっ……!
「ちょっと!
いきなり何するのよ」
吐き気する……
ここではさすがにマズイ。
そんなことばかりが頭の中にあった。
そこからほんの一瞬だけではあるが、意識をそらすことが出来た。
矢吹の手腕に、少しだけ感謝した。