太陽と雪
「ん?

んじゃ、わからず屋な姉さんにちょっとだけヒント。

純粋すぎるせいで……執事さんの気持ちを汲み取れないこともあるってこと」


またまた、意味深なことを呟く。

そして、外の景色に目を移して、あっと小さく声を漏らす。

「矢吹さんも姉さんも、ここにいて?
行くぞ、相沢」


何なのかしら。

なんか一昨日辺りから、麗眞が変なのよね……

何か私に言えないことでもあるのかしら。


「矢吹。
貴方……何か知ってる?」


「いいえ。
私にはサッパリ、でございます。

ただ、お嬢様は昔から、私が止めても危険なことに自分から首を突っ込んでいくタイプでしたから。

少しは分かるものと思っておりましたが」


今宵、その性格が災いするなんて誰も予想出来なかった。


やがて、息を切らしてレストランに戻ってきた麗眞と相沢。


「はぁ……逃げられた……」

「あと……もう少しだったのですがね……」


「まあ……仕方ないさ。

向こうも必死なんだ。

いきなり走って喉カラカラだ。
とりあえず、水持ってきてくれ、相沢」


「かしこまりました」


そう一礼して、ドリンクバーがあるほうに向かった相沢さん。


「ねぇ麗眞。

誰を追ってるの?

まさか椎菜ちゃんだったり?」

「はっ!?
バカ…!
んなワケないだろ?姉さん」


顔、赤いわよ?
声も裏返ってたし。
さては図星ね。


「追っているもう1人のヤツ……
姉さんも知ってるよ、絶対な。

小さい頃は仲良かったんじゃね?」


麗眞のこの言葉の意味も……今宵の事件で分かることになるなんて、当時はまだ知らなかった。


それにしても。
大分絶叫系は制覇したわね。


「お嬢様。
安心するのはまだ早いです。


あと1つだけですが、絶叫系が残っております。

それをクリアすれば、お嬢様お待ちかねのお買い物タイムと致しましょう」


「え!?
まだ乗るの?」


仕方ないわね……

待ちわびたお買い物のためなら……乗ってやるわよ!
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