太陽と雪
それで……結局乗ることになったんだけど……


「ねぇっ?
降下ある?
スピード速い?
そんなの……私ムリよ?」


「お嬢様。
降下がないジェットコースターなど、ありませんよ?」


「じゃあ乗らないっ」


「ホント、彩お嬢様はわがままですね。
振り回される私の身にもなってください。
彩お嬢様がそうおっしゃるのでしたら、

お買い物タイムは……なしでございますよ?」


「うっ……」


さ……さすがに……お買い物タイムなしはマズいわ。

ベッドの周りをこのテーマパークのキャラクターで埋め尽くしたいし。

何より、華恵さんやパパの姉の茜さんに巴さんからも、お土産頼まれてるんだもの。


「大丈夫でございますよ、お嬢様。

私が付いておりますので。

私が必ず、お嬢様をお守りしますので。
どんなことがあっても……ですよ?」


そんな真剣な表情でそんな胸がキュンとなる台詞言わないでよ…

心臓の音がうるさい。

何、こんなロマンの欠片もない場所でそんなこと言うのよ……

空気読みなさいよ……!


なんて……怒る気力もなくなるでしょ?


「仕方ないわね……
貴方がそこまで言うなら、乗ってあげるわよ」


乗っても死ぬワケはないって……分かってはいるけど。
少し怖いのよね。


「参りましょう。お嬢様」

私がまだ少し怖いって……矢吹は分かってるのかな?


地底走行車に乗るときに足がすくんでる私を抱き上げて乗せてくれたり。

さすが執事よね。


「何か、想像より怖くなかったわ。
貴方のおかげかしら」


「よく……頑張りましたね。

さすが、彩お嬢様です」

「ま、まあね?
もう30だし。

いい大人だし。

これくらい乗れなきゃね?」


なんて言ってみる。


後ろで爆笑してる麗眞は放っておいて、私の好きなキャラクターグッズが大量に売られている店に向かった。
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