太陽と雪
「あ……あれ……?
矢吹っ……?
わ……私……何してたの?
カクテルパーティーは?」
「姉さん、何にも覚えてないのな。
薬で眠らされてたの。
……城竜二 美崎に」
「麗眞さま!?
何をおっしゃるのです?
睡眠薬による睡眠から目覚めた後は、多少なりとも記憶が混乱するのでございます。
もう少し……彩さまが落ち着いてから……
いつもの彩さまに戻られてから、仰るべきでしたのに」
さすが……専属医師。
言うことがプロですね……
「ああ……悪い」
目を丸くしながら謝る麗眞さま。
そこまでは聡明な麗眞さまでも、考えが及ばなかったようだ。
彼も少なからず、今回のことに動揺しているのかもしれない。
「ちょっとっ……!
私……何がどうなったのよ!
矢吹!
ちゃんと説明しなさい!
その前に……ブラのホックまで外れてるじゃない!!
ちゃんと直しなさいな。
まあ……そのおかげで、背中を痛めずに済んだけれど。
嫌よ、いくら身内の前とはいえ、こんなに破廉恥な姿でいるのは」
「そういうことでございます。
皆様、一旦、お部屋からご退出願います。
彩お嬢様のプライベートでございますので」
そう言って丁寧に頭を下げて、麗眞さまたちを外に出した。
外れていたブラジャーのホックと降ろされていたファスナーを、丁寧に元通りにしてやる。
必死に、理性にブレーキを掛けながら。
豊かで柔らかそうな胸の膨らみは、見ないようにする。
視界に入れてしまうと、お嬢様をベッドに倒して襲ってしまいかねない。
お嬢様は、未遂とはいえ、大変な目に遭われたばかりなのだ。
叶わない恋をしている、一介の執事の欲望を、出してよい場ではない。
好意を抱いている女性に乱暴するなど、執事以前に男性としてあってはいけないことだ。
「……ありがとう」
お嬢様のまとう香水の香りがした。
お嬢様が、私の胸元に身を寄せてきたのだ。
崩れそうな理性に、必死にブレーキを掛ける。
「なんかよく分かんない……
ねぇ……矢吹?
麗眞……確かに、言ったわよね?
城竜二 美崎によって眠らされた、って。
何で?
美崎は友達なのに!
高校の頃は……美崎だけクラスはいつも違ったけれど、麻未や他の友人と4人でよく遊んでたのに……!
美崎が……そんなことするわけない…!」
「彩お嬢様……どうか落ち着いて下さいませ。
人は瞬時に、猫をかぶることで性格を演じることができるのでございますよ。
彩お嬢様のご友人はその能力に非常に長けてるのだと推察します」
彩お嬢様に向かってそう言ったところで、ドアがノックされた。
「私だ。
高沢だよ」
高沢さんか……
まだ、彩お嬢様のお髪も整えていないのに……
部屋に入りたいという高沢さんに、しぶしぶ了承する。
高沢によると、彩お嬢様に記憶の混乱が見られるという。
髪がぐしゃぐしゃだからと高沢に会うことを拒否する彩お嬢様。
彩お嬢様自身のためだと説得してから、高沢に診察を頼んだ。
矢吹っ……?
わ……私……何してたの?
カクテルパーティーは?」
「姉さん、何にも覚えてないのな。
薬で眠らされてたの。
……城竜二 美崎に」
「麗眞さま!?
何をおっしゃるのです?
睡眠薬による睡眠から目覚めた後は、多少なりとも記憶が混乱するのでございます。
もう少し……彩さまが落ち着いてから……
いつもの彩さまに戻られてから、仰るべきでしたのに」
さすが……専属医師。
言うことがプロですね……
「ああ……悪い」
目を丸くしながら謝る麗眞さま。
そこまでは聡明な麗眞さまでも、考えが及ばなかったようだ。
彼も少なからず、今回のことに動揺しているのかもしれない。
「ちょっとっ……!
私……何がどうなったのよ!
矢吹!
ちゃんと説明しなさい!
その前に……ブラのホックまで外れてるじゃない!!
ちゃんと直しなさいな。
まあ……そのおかげで、背中を痛めずに済んだけれど。
嫌よ、いくら身内の前とはいえ、こんなに破廉恥な姿でいるのは」
「そういうことでございます。
皆様、一旦、お部屋からご退出願います。
彩お嬢様のプライベートでございますので」
そう言って丁寧に頭を下げて、麗眞さまたちを外に出した。
外れていたブラジャーのホックと降ろされていたファスナーを、丁寧に元通りにしてやる。
必死に、理性にブレーキを掛けながら。
豊かで柔らかそうな胸の膨らみは、見ないようにする。
視界に入れてしまうと、お嬢様をベッドに倒して襲ってしまいかねない。
お嬢様は、未遂とはいえ、大変な目に遭われたばかりなのだ。
叶わない恋をしている、一介の執事の欲望を、出してよい場ではない。
好意を抱いている女性に乱暴するなど、執事以前に男性としてあってはいけないことだ。
「……ありがとう」
お嬢様のまとう香水の香りがした。
お嬢様が、私の胸元に身を寄せてきたのだ。
崩れそうな理性に、必死にブレーキを掛ける。
「なんかよく分かんない……
ねぇ……矢吹?
麗眞……確かに、言ったわよね?
城竜二 美崎によって眠らされた、って。
何で?
美崎は友達なのに!
高校の頃は……美崎だけクラスはいつも違ったけれど、麻未や他の友人と4人でよく遊んでたのに……!
美崎が……そんなことするわけない…!」
「彩お嬢様……どうか落ち着いて下さいませ。
人は瞬時に、猫をかぶることで性格を演じることができるのでございますよ。
彩お嬢様のご友人はその能力に非常に長けてるのだと推察します」
彩お嬢様に向かってそう言ったところで、ドアがノックされた。
「私だ。
高沢だよ」
高沢さんか……
まだ、彩お嬢様のお髪も整えていないのに……
部屋に入りたいという高沢さんに、しぶしぶ了承する。
高沢によると、彩お嬢様に記憶の混乱が見られるという。
髪がぐしゃぐしゃだからと高沢に会うことを拒否する彩お嬢様。
彩お嬢様自身のためだと説得してから、高沢に診察を頼んだ。