太陽と雪
「お嬢様、引き続き、鏡のほうを向いていただけますか?
お髪を整えさせていただきますので」
そう言うなり、ヘアアイロンを器用に使って髪を内巻きにしていく。
「熱くはございませんか?
彩お嬢様」
「ええ。
大丈夫よ?」
何でだろ……気のせいかな?
矢吹が髪のセットをしているとき……いつにも増して物腰が柔らかい気がするの。
そう見えるの……私だけ?
私が、矢吹に少しだけ特別な感情を持っているからかしら?
髪を巻き終えると、右耳の後ろで緩く三つ編みをしてくれた。
「毛先を邪魔にならないように折り込んでから、
こちらの赤い花クリップで留めれば、完成でございます。
お綺麗でございます、彩お嬢さま」
「うわあ……!
可愛い!」
後ろから見ると、赤い花クリップがポイントになっていて可愛い。
「ホント、矢吹って髪のセット上手いわよね」
「恐れ入ります。
私、美容師の資格も持っておりますので……」
初耳だわ。
その情報。
「び……美容師?
貴方が美容室で働いている姿なんて、想像つかない」
「私も、美容師よりも執事のほうが性に合っている気が致しましたもので。
それより、お気に召して頂けたようで、何よりでございます」
美容師だからなの?
髪をセットしているとき、雰囲気がいつもより柔らかいの。
着付けもメイクも終わった。
いつもなら、ここで麗眞や相沢さんを呼びに行くんだけど……今日は違った。
今日は浴衣を着ているからなのか、アイラインもブラウンだし、チークもブロンズだし。
口紅もベージュにして、色味を抑えてある。
あまり化粧品で顔に視線を集めても、彩お嬢様の場合は逆に浴衣が映えないからって、矢吹に言われた。
「失礼致します、彩お嬢様」
後ろから矢吹の声が聞こえた瞬間。
うなじの辺りに一瞬、ヒヤリとした感触が。
「な……何?」
「バラの香りの香水でございます。
優雅さを服装だけではなく、香りでブラッシュアップすることも重要でございますので。
お気を悪くされたなら、申し訳ございません」
それにしても……何でこのタイミングで香水?
お髪を整えさせていただきますので」
そう言うなり、ヘアアイロンを器用に使って髪を内巻きにしていく。
「熱くはございませんか?
彩お嬢様」
「ええ。
大丈夫よ?」
何でだろ……気のせいかな?
矢吹が髪のセットをしているとき……いつにも増して物腰が柔らかい気がするの。
そう見えるの……私だけ?
私が、矢吹に少しだけ特別な感情を持っているからかしら?
髪を巻き終えると、右耳の後ろで緩く三つ編みをしてくれた。
「毛先を邪魔にならないように折り込んでから、
こちらの赤い花クリップで留めれば、完成でございます。
お綺麗でございます、彩お嬢さま」
「うわあ……!
可愛い!」
後ろから見ると、赤い花クリップがポイントになっていて可愛い。
「ホント、矢吹って髪のセット上手いわよね」
「恐れ入ります。
私、美容師の資格も持っておりますので……」
初耳だわ。
その情報。
「び……美容師?
貴方が美容室で働いている姿なんて、想像つかない」
「私も、美容師よりも執事のほうが性に合っている気が致しましたもので。
それより、お気に召して頂けたようで、何よりでございます」
美容師だからなの?
髪をセットしているとき、雰囲気がいつもより柔らかいの。
着付けもメイクも終わった。
いつもなら、ここで麗眞や相沢さんを呼びに行くんだけど……今日は違った。
今日は浴衣を着ているからなのか、アイラインもブラウンだし、チークもブロンズだし。
口紅もベージュにして、色味を抑えてある。
あまり化粧品で顔に視線を集めても、彩お嬢様の場合は逆に浴衣が映えないからって、矢吹に言われた。
「失礼致します、彩お嬢様」
後ろから矢吹の声が聞こえた瞬間。
うなじの辺りに一瞬、ヒヤリとした感触が。
「な……何?」
「バラの香りの香水でございます。
優雅さを服装だけではなく、香りでブラッシュアップすることも重要でございますので。
お気を悪くされたなら、申し訳ございません」
それにしても……何でこのタイミングで香水?