太陽と雪
きちんと姉に対する優しさを携えて現れた麗眞は、ネイビーの着物を着ている。
「懐かしいな……着物。
成人式でも着ないし。
こういう機会を活かさないとな」
私は10年前だけど、麗眞は7年前だっけ。
ふと……気になったこと。
「あの……矢吹とか相沢さんは……着ないの?
私たちみたいな着物」
「私は、彩お嬢様や麗眞さまといった主をお守りする役目でございますので。
一大事に備えられるよう、着ることはございません。
私服に袖を通したのも、4年ぶりくらいでしょうか」
そうなのね……
カッコイイから……似合うと思うのに。
今度、ヒマがあれば無理矢理にでも着せてみようかしら。
準備が整ったところで、チェックアウトを済ませて皆でヘリに乗り込んだ。
ここから10分ほどで着くらしい。
「何でこんな早くにチェックアウトするのよ!
6時でも7時でも8時でもいいじゃない!」
「何が不満なのでございますか、彩お嬢様」
矢吹が隣で困ったような顔をしながら言う。
「大浴場もお楽しみいただきましたし、お食事もホテル内のレストラン3つ全てで、豪勢なものを堪能致しました。
更にはお部屋もホテル内でも最高級のものを手配致しましたのに」
「どうせ、夜景が見たかっただけだろ。
好きだからな、女は。
……夜景。
普段姉さんもオレも屋敷にしかいないから、絶景だったんだろうよ。
ホテルからテーマパークが見えるっていうの」
「麗眞!?
貴方……余計なことを……!
確かに、夜景は見たかったわよ。
余計なことを言わないで!
黙っていればカッコイイのに……」
「夜景なら、もっといいところがございます。
またご案内致しましょう。
このヘリからもご覧になれますので」
「ホント!?
やったあ!」
「姉さん、一瞬でテンション上がったな。
普段の姉さんからは想像つかないけど」
「何よ!
女の子は好きなのよ?
夜景。
椎菜ちゃんにも聞いたら、肯定するはずよ」
椎菜ちゃんの話題を出すと、顔を真っ赤にして目を伏せ、無言になった麗眞。
夜景でロマンチックなムードになったところをいろいろ達者に言いくるめて、いい雰囲気に持っていく妄想でもしているのだろう。
麗眞の思考回路はそういう方にしか働かないのか!
「夜景か。
椎菜にも見せてやりたいな。
学生の頃に散々見に行ったけど、そういうのもご無沙汰だし」
「あー、はいはい。
もう惚気はお腹いっぱいよ。
というか、さっさとヨリ戻す気あるなら戻しなさいよ。
今の状況見せたら、貴方の高校の頃のお友達の酒の肴になるわよ」
そう言った瞬間、麗眞は頭を抱えた。
「うわ、それ有り得そう……
特に深月ちゃんとか華恋ちゃん辺りが。
何か怖いな」
そんな会話をしているうちに、会場に着いたらしい。
「懐かしいな……着物。
成人式でも着ないし。
こういう機会を活かさないとな」
私は10年前だけど、麗眞は7年前だっけ。
ふと……気になったこと。
「あの……矢吹とか相沢さんは……着ないの?
私たちみたいな着物」
「私は、彩お嬢様や麗眞さまといった主をお守りする役目でございますので。
一大事に備えられるよう、着ることはございません。
私服に袖を通したのも、4年ぶりくらいでしょうか」
そうなのね……
カッコイイから……似合うと思うのに。
今度、ヒマがあれば無理矢理にでも着せてみようかしら。
準備が整ったところで、チェックアウトを済ませて皆でヘリに乗り込んだ。
ここから10分ほどで着くらしい。
「何でこんな早くにチェックアウトするのよ!
6時でも7時でも8時でもいいじゃない!」
「何が不満なのでございますか、彩お嬢様」
矢吹が隣で困ったような顔をしながら言う。
「大浴場もお楽しみいただきましたし、お食事もホテル内のレストラン3つ全てで、豪勢なものを堪能致しました。
更にはお部屋もホテル内でも最高級のものを手配致しましたのに」
「どうせ、夜景が見たかっただけだろ。
好きだからな、女は。
……夜景。
普段姉さんもオレも屋敷にしかいないから、絶景だったんだろうよ。
ホテルからテーマパークが見えるっていうの」
「麗眞!?
貴方……余計なことを……!
確かに、夜景は見たかったわよ。
余計なことを言わないで!
黙っていればカッコイイのに……」
「夜景なら、もっといいところがございます。
またご案内致しましょう。
このヘリからもご覧になれますので」
「ホント!?
やったあ!」
「姉さん、一瞬でテンション上がったな。
普段の姉さんからは想像つかないけど」
「何よ!
女の子は好きなのよ?
夜景。
椎菜ちゃんにも聞いたら、肯定するはずよ」
椎菜ちゃんの話題を出すと、顔を真っ赤にして目を伏せ、無言になった麗眞。
夜景でロマンチックなムードになったところをいろいろ達者に言いくるめて、いい雰囲気に持っていく妄想でもしているのだろう。
麗眞の思考回路はそういう方にしか働かないのか!
「夜景か。
椎菜にも見せてやりたいな。
学生の頃に散々見に行ったけど、そういうのもご無沙汰だし」
「あー、はいはい。
もう惚気はお腹いっぱいよ。
というか、さっさとヨリ戻す気あるなら戻しなさいよ。
今の状況見せたら、貴方の高校の頃のお友達の酒の肴になるわよ」
そう言った瞬間、麗眞は頭を抱えた。
「うわ、それ有り得そう……
特に深月ちゃんとか華恋ちゃん辺りが。
何か怖いな」
そんな会話をしているうちに、会場に着いたらしい。