恋人という名のゲーム
「…それは、感謝してますけど」

「俺、感謝なら態度で示してほしいな」

態度で、と問う間もなく久我さんの顔が近づいてきて、唇が触れた。反射的に体が動いて、頬に平手打ちをくらわした。


「さいてー」

私はベッドからおりて、傍にあったバッグを拾ってそのまま部屋を出た。久我さんの部屋がどこにあるのかもわからないけど、一刻も早くここから出たかった。出れば終わりになる。ちょっと嫌な記憶として残るだけで、久我さんに二度と逢うこともない。





そう、思っていた――。













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