恋人という名のゲーム
久我さんに連れていかれたイタリアンはおしゃれな外装をしていたけど、中でメニューを見ると意外とリーズナブルでほっとした。今月はもう、お金に余裕がない。
「デザートついてるコースでいいかな?」
たぶん久我さんは遊び慣れているんだろうなと思う。そういう余裕が感じられる。
「単品でいいです。あまりお金に余裕がないんで」
「俺がごちそうするから気にしないで。俺が無理に誘ったんだし」
無理に誘った自覚はあるらしい。
「いえ。おごってもらう理由がないんで」
きっぱいと断ったのは、借りをつくりたくなかったからだ。
「理由ならあるよ。お詫び」
久我さんはにっこりと余裕のある笑みを見せた。