恋人という名のゲーム
私が言葉を失ってる間に、久我さんはさっさと注文を済ませてしまった。
「怒ってる」
「呆れてます。それから、名前で呼ぶのやめてもらっていいですか」
朝、突然呼び方が変わったことに違和感があった。
「いいじゃん、一夜を過ごした仲じゃない」
「誤解を呼ぶような表現はやめてください」
いちいち感情的になるのも疲れた。頭が痛くなりそうだと思いながら、冷静に淡々と話すことにする。
「すごく警戒されてるよね、俺。とりあえずさあ、敬語やめない? 同い年
なんだし」
「へえ、同い年なんですか」
もっと大人びて見えた、とは心にとどめておく。会話は盛り上げないに限る。
「なんかものすごく興味なさそうだね」
「ごめんなさい」
抑揚のない口調で返すと、久我さんはおかしそうに笑った。