恋人という名のゲーム
「俺は昨日初めて美咲に逢ったわけじゃないよ。美咲の記憶にはないかもしれないけど」

まったく覚えてない。私は戸惑いながらも、もったいぶったように微笑む久我さんの言葉を待った。


「小学二年のとき、同じクラスだった」

今の実家に引っ越す前だ。クラスの子の顔も名前もなんとなく覚えているけど、久我さんの顔にも名前にも記憶がなかった。



「小林黎二。覚えてない?」


「小林って…あ。あの…」

あの、地味で、目立たなかった。


「『あの、ちっちゃくてガリガリだった小林黎二』?」



自嘲気味な久我さんの笑顔。私の記憶の小林くんとは似ても似つかない。
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