恋人という名のゲーム

「そりゃあわからないよね。面影なんてまるでないし」

たしかにそうだ。だけど私が言いたいのは外見よりも…。



「でもね、美咲。今の俺があるのは、美咲がいたからだよ」


久我さんは天使のような美しい笑顔を私に向けた。その笑顔を、私は怖いと思った。私はその言葉に自惚れられるほど呑気じゃない。私は体が芯から冷えていく気がした。


「だからさ、美咲。俺とつきあってよ。美咲にはそういう責任があると思わない?」

「……はあ?」


自分でも死ぬほどまぬけな声だったと思う。一瞬理解できなくて、じわじわと言葉を理解してはっとした。


「い、いやです。ありえないです」

私の焦ったような言葉に、突然久我さんは笑いだした。
< 20 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop