恋人という名のゲーム
「だから、今、誰ともつきあう気ないんです」

「じゃあとりあえず友達として。それもだめなの?」

私は言葉に詰まった。その言い方はずるい。友達になることすら拒絶するのは、人としてどうなんだろう。私は何様だって話だ。


「…友達以上は、ありえないけど」

「ありがとう。それでさ、お願いなんだけど、つきあってることにしてほしいんだよね」

「は?」

天使の笑顔の下に、悪魔の顔がのぞいた気がする。友達ならと言ったのは、とんでもない間違いだったのではないか。


「俺も困ってるんだ。好きな人がいるって断るのと、つきあってる人がいるって断るの、効果が全然違うじゃん。美咲もそのほうが合コンとか誘われなくて都合がいいし、損しないと思うな」

「…でもそれは……」
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