恋人という名のゲーム
久我さんは私の歩調に合わせてゆっくり歩きながら、沈黙がないようにリズミカルに話をしてくれた。低すぎない甘い声が、耳に心地よかった。

「ここです」


私が足を止めると、久我さんは私の住む古いマンションを見上げた。

「今日はごちそうさまでした。それから、送っていただいてありがとうございました」

「こちらこそ、わがままにつきあってくれてありがとう」

小さく笑った久我さんに頭を下げた。



「じゃあ、おやすみなさい」

マンションの中に入ろうとすると、美咲、と声をかけられて、久我さんに腕を掴まれた。
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